印紙税(いんしぜい)
契約書に貼る収入印紙の税金です。
契約金額によって印紙税額が決まります。印紙税額についてはコチラを参照して下さい。
契約書や領収書など貼る収入印紙、貼る理由や意味についてはコチラを参照して下さい。
売買契約書を当事者数分作成する場合は、各自が規定の印紙代を負担する事となります。
例えば、売主1名+買主1名=合計2名の場合、売買契約書は2通作成しそれぞれに収入印紙を貼ります。
しかし、当事者の数に限らず売買契約書は1通のみ作成し、原本を保有する者以外はその複写(コピー)を保有するという契約方法もあります。
例えば、売主1名+買主1名=合計2名の場合、売買契約書原本(収入印紙が貼ってあるもの)を買主が保有し、売主はその複写を保有する。とするケースがあります。
その場合、印紙の貼ってある売買契約書原本を保有する買主が印紙代を負担する場合と、売買契約書原本は買主が保有するが収入印紙代は売主買主双方が平等に負担(折半)する場合があります。
例えば、1万円分の収入印紙を貼った売買契約書原本を買主が保有するが、売主と買主が5千円づつ負担するというケース。
何れのケースも間違いではありませんし、契約は有効となります。ただ、印紙代の負担方法が違うだけです。
どのような方法をとるかは、売買対象物件所在地の不動産取引慣習や当事者や不動産仲介業者の意向によります。
したがって、売買契約書原本の作成数を事前に確認しておく必要があります。
札幌では、売買契約書原本1通作成
買主が原本保有、売主はその複写を保有。
印紙代は売主買主双方の折半というのが
一般的です。
登録免許税(とうろくめんきょぜい)
登記をする時にかかる税金です。
不動産の価格や地目、登記の内容によって税額が違います。
登録免許税についてはコチラを参照下さい。
不動産売却に関係する登記は主なものとして「所有権移転登記」(名義の変更)と「抵当権抹消登記」(担保の抹消)です。
このうち、「所有権移転登記」は買主の負担とする契約が一般的です。「抵当権抹消登記」は売主の負担となり自分で登記を行う事も可能ですが、買主から受領する売買代金を融資額の繰り上げ返済に充てる場合は「所有権移転登記」と同時に行わなければなりません。
したがって、買主が登記を委任する「司法書士」へ一緒に「抵当権抹消登記」を委任する事が望ましいです。
買主から受領する売買代金によらず、事前に自己資金で繰り上げ返済を行う場合は借入金完済後、抵当権者(金融機関)から抵当権抹消に必要な書類等を受け取る必要があり、その書類があれば自分で抹消登記を行うのは然程難しくはありません。
登録免許税についてはコチラを参照下さい。
所有権移転登記費用、買主が負担するのが一般的ですが、
売主が負担しても問題有りません。
事例はあまりありませんが、諸費用等全て込みで
売買契約金額を設定した場合などは、所有権移転費用を
売主が負担する事も考えられます。
譲渡所得税(じょうとしょとくぜい)
不動産の売却で得た利益(譲渡所得)にかかる税金です。所得税と住民税がかかります。
売却で利益が無い、又は損失となった場合は課税されません。
売却した不動産の所有期間によって次のように税率が異なります。
所有期間は被相続人(亡くなった人)が当該不動産を取得した日からの期間です。
相続した日からの所有期間ではなく、被相続人の所有期間も引き継ぎます。
居住用財産(マイホーム)や相続を受けた空き家の売却などでは軽減措置(特別控除)があります。
売却を検討しているかたは、
ココ、一番大事です!
長期譲渡所得
売却(譲渡)した年の1月1日現在で所有期間が5年を超える場合、長期譲渡所得税は以下のとおりです。
所得税=課税長期譲渡所得金額×15%
住民税=課税長期譲渡所得金額×5%
∴長期譲渡所得税額合計=課税長期譲渡所得金額×20%
短期譲渡所得
売却(譲渡)した年の1月1日現在で所有期間が5年以下の場合、短期譲渡所得税は以下のとおりです。
所得税=課税短期譲渡所得金額×30%
住民税=課税短期譲渡所得金額×9%
∴短期譲渡所得税額合計=課税長期譲渡所得金額×39%
復興特別所得税
平成25年から令和19年までは、復興特別所得税として各年分の基準所得税額の2.1パーセントを所得税と併せて申告・納付することになります。
((譲渡所得税と合算した計算式))
※2037年まではこの計算式で税額計算をして下さい。
所得税=(課税長期譲渡所得金額×15%)+(課税長期譲渡所得金額×15%×2.1%)
住民税=課税長期譲渡所得金額×5%
∴長期譲渡所得税額合計=課税長期譲渡所得金額×20.315%
所得税=(課税短期譲渡所得金額×30%)+(課税短期譲渡所得金額×30%×2.1%)
住民税=課税短期譲渡所得金額×9%
∴短期譲渡所得税額合計=課税長期譲渡所得金額×39.63%
譲渡所得の計算方法・計算式
譲渡所得の計算方法
課税対象となる「譲渡所得」(課税譲渡所得金額)は次のように算出します。
課税譲渡所得金額=収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除
収入金額
収入金額は不動産(土地・建物)を売却し、買主から受領した金額です。
土地建物を現物出資して株式を受け取った場合のように、金銭以外の物や権利で受け取った場合は、その物や権利の時価が収入金額となります。
取得費
売却(譲渡)した不動産(土地・建物)を取得した際に直接かかった費用等です。
主なものは下記のとおりです。
- 売却した不動産(土地・建物)の購入代金や建築代金、購入時にかかった手数料等や設備費・改良費等も含まれる
- 建物の取得費は、購入代金や建築代金の合計額から所有期間に応じた減価償却費相当額を差し引いた金額
- 売却した不動産(土地・建物)を購入した時に納税した「登録免許税」、「不動産取得税」、「特別土地保有税」、「印紙税」
- 借主がいる不動産(土地・建物)の場合、借主を立ち退かせる為に支払った立ち退き料等
- 土地の埋め立てや土盛り、地ならし等の為に支払った造成費用
- 売却した不動産(土地)の購入時に支払った土地の測量費
- 所有権等を確保する為に要した訴訟費用等
- 建物付きの土地を購入して、その後概ね1年以内に建物等を取り壊すなど、当初から土地の利用が目的であったと認められる場合の建物等の購入代金や取壊しの費用等
- 不動産(土地・建物)を購入する為に借り入れた資金の利子のうち、その不動産を実際に使用開始する日までの期間に対応する部分の利子
- 既に締結されている土地などの購入契約を解除して、他の物件を取得することとした場合に支払った違約金相当額
取得費がわからない場合
売却した土地建物が先祖伝来のものであるとか、購入した時期がかなり昔など、取得費が分からない場合には、売却した金額の5パーセント相当額を取得費とすることができます。
また、実際の取得費が売却した金額の5パーセント相当額を下回る場合も、売却した金額の5パーセント相当額を取得費とすることができます。
例えば、土地建物を5,000万円で売った場合に取得費が不明のときは、売却した金額の5パーセント相当額である250万円を取得費とすることができます。
譲渡費用
不動産(土地・建物)を売却(譲渡)した際に直接かかった費用等です。
主なものは下記のとおりです。
- 不動産を売却する為に支払った仲介手数料
- 売主が負担した印紙税
- 賃借人がいる不動産を売却する際に、賃借人に支払った立退き料等
- 土地を売却する為にその上の建物等を取壊した時に支払った取壊し費用とその建物の損失額
- 既に売買契約を締結している資産の売買契約を解除し、さらに有利な条件で売却する為に支払った違約金等
- 借地権を売却する際に地主の承諾をもらうために支払った名義書換料等
特別控除
不動産(土地・建物)を売却(譲渡)した場合の特別控除額は次のとおりです。
特別控除は一定の要件を満たす場合に適用されます。各項目の要件はリンク先(国税庁のウェブサイト)を参照下さい。
収用等により土地建物を譲渡した場合 | 5000万円 |
被相続人の居住用財産(空き家)を売った場合 | 3000万円 |
マイホームを譲渡した場合 | 3000万円 |
「特別土地区画整理事業等」の為に土地等を譲渡した場合 | 2000万円 |
「特定住宅地造成事業等」の為に土地等を譲渡した場合 | 1500万円 |
平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡した場合 | 1000万円 |
「農地保有の合理化等」の為に農地を譲渡した場合 | 800万円 |
「低未利用土地等」を譲渡した場合 | 100万円 |
※土地、建物の譲渡所得から差し引く特別控除額の最高限度額は、年間の譲渡所得全体を通じて5,000万円です。
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