(こうせいしょうしょ)
個人や法人からの嘱託により、「公証人」が「公証役場」で作成する契約書・合意書などのことをいう。
公正証書の内容としては、「不動産売買契約」、「不動産賃貸借契約」、「金銭消費貸借契約」、「遺言」などが一般的であるが、公序良俗に反しない限り、どのような契約や合意であっても公正証書にすることが可能である。
公正証書を作成するには、当事者全員(または委任状を持参した代理人)が公証役場に出頭し、公証人に案文を提出し、公証人が公正証書を作成し、当事者全員に読み聞かせ、当事者全員が署名捺印するという手続きを踏む。
このため、文書の内容に関して後日裁判になった場合でも、文書の内容が真実であることが非常に強く推定されるので、公正証書に記載された内容がそのまま裁判で証拠になるというメリットがある(これを「証拠力」という)。
また、金銭消費貸借契約に関しては、債務者が一定の事情が発生したときには直ちに強制執行に服するという旨の陳述(これを「執行認諾約款」という)が記載されている場合には、この公正証書は裁判所の確定判決と同等の効力を持つこととされている。
このため、「約束の支払い期日までに債務者が債務を返済しない場合には債務者および連帯保証人は直ちに強制執行を受けても何ら異議はない」という旨の執行認諾約款のある公正証書が存在すれば、裁判を経ないで、直ちに債務者と連帯保証人の財産に対して強制執行を開始することができるというメリットがある。
このような強い効力を持つ公正証書であるが、その作成手数料は低額であり、利用しやすい制度となっている。