不動産賃貸借契約(賃貸契約)
賃貸契約は不動産物件の貸し借りの為の契約で、
普通借家契約(ふつうしゃっかけいやく)と定期借家契約(ていきしゃっかけいやく)の2種類があります。
通常は、不動産物件の所有者が貸主で、借り受けて当該物件を使用する者が借主となって契約書に記名押印します。
例外として、貸主が所有者ではない場合や、又は、借主が実際にその物件を使用せず他の者が使用する場合も有ります。
例えば、物件所有者(A)から借り受けた者(B)が当該物件を別の者(C)へ又貸しする事を許可されている場合に
Bが他の第三者へ貸す場合の契約当事者は、貸主はAではなくBです。
したがって、Bが貸主となってCが借主となります。
この事を転貸(てんたい)と言います。又貸し(またがし)と同じ行為ですが、又貸しはAの許可無く勝手にCへ貸すことも含めた表現ですが、転貸は、予め、Bが第三者へ貸すことをAから許可されている場合に表現する言葉です。
他の例外として、借主が実際にその物件を使用せず他の者が使用する場合があります。
例えば、お子様が進学などで地方の親が進学先学校近辺の賃貸物件を契約する場合などは
借主が父親で実際に使用(入居)する者はその子供という事が良くあるパターンです。
賃貸契約のうち普通借家契約は一般的な契約で、契約期限が到来した場合は更新して契約期間を延長する事ができます。
一方、定期借家契約は当初の契約期限が到来すると更新ができず契約終了となり、物件を明け渡さなければなりません。
その物件を使用(入居)する期間が決まっている場合などは良いですが、そうでない場合は期限が近くなると別のお部屋を探さなければならない事となります。
どちらの契約でも建物の賃貸借契約では収入印紙を貼付(ちょうふ)する必要はありません。
ただし、賃貸借契約書に条件を追加する場合や賃料や敷金(保証金)の額が高額になる場合は印紙が必要となる事があります。
その他、土地の賃貸借契約(農地を含む)も印紙が必要となります。
印紙代は、契約金額に応じた印紙税額となります。詳細はコチラをご参照下さい。
不動産売買契約(売買契約)
不動産物件の売り買いの為の契約で、不動産物件所有者が売主で購入者が買主となって契約書に記名押印します。
契約不動産の登記名義人が不動産所有者として売主になるのが一般的ですが、例外として三為契約など登記名義人以外が売主になる場合もあります。
売買契約書には契約金額に応じた収入印紙を貼付(ちょうふ)しなければなりません。
貼付する印紙代はコチラをご参照下さい。
売買契約書に印紙を貼った原本を、
当事者数分作成する場合もありますし、1通作成して任意の者が原本を保有し残りの者はそのコピーを保有する
という方法があります。
1通だけ作成する理由は印紙代を節約する為です。
1通作成する場合は貼付した印紙代は当事者が平等に負担する(折半)のが一般的です。
しかし、契約金額にもよりますが、当事者(売主及び買主)の数だけ作成するとその分負担が大きくなります。
どうしても原本を保有しなければならない理由が有る場合は、当事者数分を作成します。
住宅ローンを利用する場合は金融機関から売買契約書の原本提示を求められますので、
1通作成の場合は買主が原本保有するのが通常です。
媒介契約
不動産物件の取引を不動産仲介業者へ依頼する為の契約です。
媒介契約書には主に、取引を依頼する物件の内容、取引が成立した時の報酬額やその受領時期、媒介契約有効期限などが記載されています。
不動産仲介業者と不動産取引当事者(売主と買主又は貸主と借主)が交わします。
しかし、賃貸(貸主や借主)の場合は媒介契約を交わしていないケースが殆どです。
媒介契約の種類は、以下の3種類が有ります。
※どの媒介契約を交わしても報酬額(仲介手数料)は同じです。
a.一般媒介契約(いっぱんばいかいけいやく)
b.専任媒介契約(せんにんばいかいけいやく)
c.専属専任媒介契約(せんぞくせんにんばいかいけいやく)
それぞれの媒介契約には以下の4つの特徴があります。
1.自己発見取引
2.依頼できる宅建業者の数
3.業務処理状況(営業活動)の報告義務
4.指定流通機関(レインズ)への登録義務
それぞれの媒介契約ごとに4つの特徴を説明します。
※宅建業法で規定されている内容です
一般媒介契約
自分で見つけた取引相手と契約が可能(自己発見取引が可能)
複数の宅建業者とと一般媒介契約を交わせる
業務処理状況報告の報告義務が無い
レインズへの登録義務が無い
専任媒介契約
自分で見つけた取引相手と契約が可能(自己発見取引が可能)
媒介契約が交わせるのは1業者だけ
14営業日毎に業務処理状況報告の報告義務有る
専任媒介契約締結後7営業日以内にレインズへの登録しなければならない
専属専任媒介契約
自分で見つけた取引相手と契約は不可(自己発見取引が不可)
媒介契約が交わせるのは1業者だけ
7営業日毎に業務処理状況報告の報告義務有る
専任媒介契約締結後5営業日以内にレインズへの登録しなければならない
媒介契約毎の相違点
ちょっとわかりづらいので、3種類の媒介契約の種類と4つの特徴を表にまとめてみます。
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
---|---|---|---|
自己発見取引 | できる | できる | できない |
依頼できる業者数 | 複数業者へ 依頼可能 | 1業者のみ | 1業者のみ |
依頼主へ報告 | なし | 14営業日に 1回以上 | 7営業日に 1回以上 |
指定流通機構への登録 | 義務なし | 義務あり | 義務あり |
媒介契約別メリットデメリット
それぞれの媒介契約にはメリットとデメリットがあります。
不動産業者(営業マン)の説明を参考にして、ご自身に合った媒介契約を選ぶようにしましょう。
一般媒介契約
一般媒介のメリット
・複数の不動産業者と契約を交わすことができる為、それぞれの特色のある業者を選べる。
例えば、大手系1社+中小系1社+地元密着系1社など。
・自分で見つけた相手と取引ができる。
・契約期間内でもいつでも解約ができる。
・レインズへ登録をしない場合、情報の拡散が無いので周りの人にあまり知られずに取引をする事ができる。
一般媒介のデメリット
・複数の不動産業者と契約を交わした場合、それぞれの業者(担当者)のモチベーションが下がり、積極的な営業活動をしてもらえない。
・業者によっては、限られた広告宣伝枠の中で優先的に宣伝してもらえない。
・レインズへの登録義務が無いため、情報拡散力が弱い。
・業者からの業務処理状況報告義務が無いため、販売状況について一般媒介契約を交わした各業者へ問い合わせをしなければならず、状況の把握がしにくい。
専任媒介契約
専任媒介のメリット
・媒介契約を交わすのは1社のみなので、任された業者には成約させる責任が有り、積極的な営業活動を行ってもらえる可能性が高い。
・14営業日毎に業務処理状況報告を受けられるので、販売活動の状況がわかりやすい。
・取引についてのやりとりも1社だけなので、状況把握がしやすく一般媒介よりも手間がかからない。
専任媒介のデメリット
・依頼する業者が1社のみなので、任せた業者の営業力や業界での地位(認知度等)が大きく影響する。
・不動産業者によっては、任せた物件に関する事は同じ組織内でも担当者の権限が強く担当者が不在の時は他のスタッフでは対応できない事がある。
※これは、担当者の営業成績に関係する事なので他のスタッフは直接の関わりを避けるためです。
・囲い込みをされる可能性が有る。囲い込みについてはコチラをご参照下さい。
専属専任媒介契約
専属専任媒介のメリット
・媒介契約を交わすのは1社のみなので、任された業者には成約させる責任が有り、積極的な営業活動を行ってもらえる可能性が高い。
・7営業日毎に業務処理状況報告を受けられるので、販売活動の状況が非常にわかりやすい。
・取引についてのやりとりも1社だけなので、状況把握がしやすく一般媒介よりも手間がかからない。
専属専任媒介のデメリット
・自分で見つけてきた相手方と直接契約ができず、必ず、専属専任媒介契約を交わした不動産業者に仲介取引をしてもらわなければならない。
・依頼する業者が1社のみなので、任せた業者の営業力や業界での地位(認知度等)が大きく影響する。
・不動産業者によっては、任せた物件に関する事は同じ組織内でも担当者の権限が強く担当者が不在の時は他のスタッフでは対応できない事がある。
※これは、担当者の営業成績に関係する事なので他のスタッフは直接の関わりを避けるためです。
・囲い込みをされる可能性が有る。囲い込みについてはコチラをご参照下さい。
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